日本ナレーション演技研究所(以下略:日ナレ)は、声優、俳優、ナレーターを育成するための養成所です。現在本州に11校が設立されており、東京に代々木校、池袋校、お茶の水校、立川校、町田校の5校、関東地方に大宮校、柏校、横浜校の3校、地方都市では大阪校、神戸校、名古屋校が置かれています。
また、2017年4月には仙台校、京都校も設立される予定です。
カリキュラムは同じでも、学校によって先生が違うことや地方色が出てきたりすることで、おのおの特色があるようです。
ここでは、東京に置かれている日ナレと、大阪校の違いについて考えます。
目次
日ナレって、どんなところ?
日ナレの特色は、働きながらレッスンが受けられるシステムにあります。
声優にあこがれはあるけれど、果たして自分に向いているものかどうか、将来の職業として努力がし続けられるかどうかは、一度レッスンを受けてみないとわかりません。
しかし、そのために今ある仕事や勉学を投げ打って、ほぼ毎日通う専門学校へ進学するのはリスキーです。現在の生活を維持しながら、声優やナレーターの勉強をすることができるという点が、日ナレの特長です。
週1回3時間のクラスからあり、演技+ボーカルレッスンも受けたい場合は週2回クラス、それにプラスしてダンスレッスンが受けられるのが週3回クラスです。
いずれも基礎科から始まり、試験を受けて本科、研修科へステップアップしていく方式です。
プロになれるの?
声優は、医師や弁護士と違って試験を受けて資格を得る、という職業ではありません。すなわち、レッスンを受けたからといって、皆がみんな声優になれるわけではありません。
養成機関で学んだ後に、いずれかのプロダクションに所属するためのオーディションを受ける必要があります。
プロダクションに所属することができたら、その後に声優デビューのためのオーディションを受け、仕事を勝ち取っていくのです。
日ナレはグループプロダクションがたくさんあり、受講中に見込みがあるとされた人はプロダクションのマネジメント対象になります。
その多くは所在地が東京に置かれているので、やはり対象となるのは東京の日ナレに通っている受講生が多いようです。有限会社澪クリエーションが、唯一関西地区を中心にマネジメントしているプロダクションになります。
また、劇団摂河泉(せっかせん)という劇団は、大阪校卒業生の活躍の場として発足された劇団で、大阪の劇場を中心に活動しています。
日ナレと連携しているグループプロダクション一覧
- アーツビジョン
- アイムエンタープライズ
- クレイジーボックス
- ヴィムス
- アライズプロジェクト
- 零クリエーション
代々木校(旧:東京校)と大阪校の違いって?
日ナレの代々木校(旧:東京校)と大阪校の大きな違いは、
- 置かれているグループプロダクションの数
- レッスンを離れれば大阪弁の環境
です。
置かれているグループプロダクションの数に関連すること
やはり仕事の中心は東京なので数は多いです。
講師は数ではなく質だとは思いますが、東京は収録現場も多いので、それだけ現在も現場で活躍されているような現役声優のレッスンを受けるチャンスも増えるわけです。
また、グループプロダクションの数が多ければそれだけ見初められるチャンスも多いでしょうし、地方に比べて収録現場が近いのもあり声がかかりやすい点も見逃せません。
チョイ役でもオーディションを受けて作品に参加することができれば、それだけ経験値が積めますし、養成所のレッスンとはまた異なる学びの場になります。
レッスンを離れれば大阪弁の環境に関連すること
それから、方言、アクセントについても、東京校と大阪校では異なります。
どちらも標準語で話すことを求められますし、滑舌やアクセントは厳しく指導されるようですが、なんといっても大阪は学校の一歩外へ出ると皆大阪弁です。
ご存知のように大阪弁はインパクトが強く、生活していると他の地方出身者でもいつのまにか大阪弁が混じってきてしまうほど。仕事や学校で大阪弁に囲まれながら、日ナレのレッスンでだけは標準語のアクセントで話すという使い分けが、苦手な人には厳しいでしょう。
ただし、卒業後も関西に限って活動していきたいといった場合は、この点はさほど問題にならないかもしれません。
地方ですと、全国放送の番組よりも地方局で活躍している人の方が有名だったり人気があったりしますので、東京や全国で無名でもいい、大阪で活躍していきたい、というのであれば、大阪校で十分でしょう。
いずれ東京のオーディションも受けたいというのであれば、大阪校に通っただけでは不利かもしれません。ただ、その場合東京へ転籍を進められますから、生徒さんが心配することはありませんよ。
まとめ
まずは無理のない範囲でレッスンに通うことができ、学んでみてから地方に残るか東京に出るか考えられるのが、日ナレの大きな特長であるといえます。
日ナレ出身のプロの声優の方々も、最初は自宅から通えたり仕事場から近い地方校に通ってみて、事務所から声をかけられてから東京に移った人が多いです。
いずれは全国区で活躍したい、東京でメジャーなオーディションを受けて仕事をしたいのであれば、まずは大阪校に通ったとしても、その後東京校に移る必要がありそうです。