声帯を鍛えると聞くと、無理に起きな声を出し続けると言うイメージを抱く人もいますが、正しくはそういう事ではありません。
負荷を掛けてダメージを与えて修復させることで次第に鍛える事が出来ると思われている事も有りますが、それは筋肉のトレーニング法です。
これ自体は筋肉では無いので、大声を出してダメージを与えたからと言って次第に強くなって行くわけではありません。かえって喉に多大なるダメージを与えてしまい、結果的に喉を痛めやすくなってしまうだけなので、喉には悪影響だと言えます。
目次
そもそも、声帯って?
声帯は咽頭にある器官で、2本のひだになっています。
肺から空気を吐き出すとその部分を通って口へと進むのですが、その時に空気の振動をさせることで発声させる器官となっています。
筋肉ではないのでそれ自体が動いて声を出したりするわけではなく、あくまでも1対のひだが共鳴部位となって振動を生じさせて声を出す仕組みをになっているに過ぎません。
だから、非常に歌が上手な人と素人と比べても、実は皆同じ様な声帯を持っており、それ程大きな差異は無いのです。
声質を決める要素
ただ、大きな声を出す事ができる人もいれば、高い音から低い音まで上手に調節して発生する事が出来る人もいます。それに関係してくるのがその周辺にある筋肉です。
中でも輪状甲状筋は発生にも大きな関係がある筋肉で、それを上手に鍛える事ができれば、声質にも大きな変化が期待出来ます。
元々輪状甲状筋自体は喉仏を下げたり、喉を広げたりする役割を担っている筋肉です。喉仏を下げる事自体は発声には殆ど影響はありませんが、喉を広げると言うのは発声に大きな関係があります。
輪状甲状筋は声帯と連動しており、その開きを調節する働きがあるからです。
通常、発声練習をしたりする時は声を大きくしたい、いつもと違う声質の声を出せるようになりたいとして練習する事になります。
ただ大きな声を出すだけでは、トレーニングにはなりません。喉にダメージを与えてしまうだけだからです。
声は上手に空気を振動させて、いかに共鳴させる事が出来るかと言う事でも大きく変わってきます。
声質を決めている要素
また声は喉で出していると言うイメージが有りますが、実はそうではありません。
実際にその人の声質に影響するのは体格、骨格、鼻腔の形、声道の長さ、さらに歯並びなどです。これらの条件が密接に関わり合う事によって、様々な音を出す事が出来るようになっています。
喉はあくまでも空気が通過する器官で、出て来た振動を声に変換しているだけに過ぎません。
声質と声帯の関係
そして声帯自体はそれが音を出しているのではなく、その開き具合などで振動によってできた波の形を変えて、高い音や低い音に調節する役割、つまりコントロールする役割を担っている器官だと言う事になります。
だから、大声を出したからと言って簡単に鍛える事が出来る訳ではなく、却ってその部分を傷めてしまう事に繋がり、希望するような声が出るようにはならず痛みを感じるようになったり、声がかれてしまったりするのです。
声帯を鍛えるトレーニング法
では、大きな声を出したり音程を上手に調整できるように鍛える為にはどうすれば良いのでしょうか。
筋肉を上手に動かす事が出来るようにする
発声に関係する筋肉の一つは輪状甲状筋ですが、これを上手に活用できるようにします。
先ずは上手に筋肉をコントロールして、喉を開くようにします。喉の開き方としてはあくびをするような感じにすると、開きやすくなります。
また緊張しているとどうしても筋肉の動きがスムーズに行かなくなる場合があるので、出来るだけリラックスして行います。
音を頭に響かせる事を意識して発声する
楽器はただ単に音を出しているのではなく、その中で空気を振動させて共鳴させてより音を大きくしたりしています。人間の体でも同じ様に共鳴しているので、それを行う事を意識します。
声自体は頭で響かせるようなイメージすると、無理に喉に力を入れなくても上手に発声しやすくなって行きます。
特に大きな声を出すと言う時は、無理に大きくしようとするのではなく、上手に響かせるようにする事で今迄よりももっと大きな声を出しやすくなるからです。
声帯を上手にコントロールできるようにしよう!
声を出すというのは元々意識する事無く行っています。
ただ自分のイメージするような声を出す、音域を広げる、声量を増す為には、喉を酷使すれば良いと言うわけではありません。どうしてもその言葉から誤解されてしまう事も多く、間違った方法で行ってしまう人もいます。
ただ実際には、『その本質と言うのは筋トレの様に鍛えるのではなく、声帯自身を上手にコントロールできるようにする。』、と言う事になります。
またその為には周辺筋肉を上手に動かす事が重要で、リラックスを心掛ける事によって筋肉を動かし易くなります。
発声はただ喉を利用して音を出しているのではなく、空気を振動させ、さらに共鳴させて音程や大きさを調節しています。いかに自分のイメージするようにコントロールできるかと言うのが本質だと言えます。