日本語のアクセントは強く発音する音はどれかではなく「高低」のことで、その単語ごとに異なる発音位置を説明するためにアクセント表記があります。ここでは、発音位置の表記でよく使われる記号をご紹介していきます。

目次

日本語アクセントの主な表記法

これらのアクセント表記は辞典などの書籍で用いられています。そして正しく発音をする必要がある職業を目指している場合には必須の知識となります。

丸式

高く発音するところの文字の部分は●(黒丸)で、低く発音するところの文字の部分を○(白丸)で示し、一つの文字でも下降調に発音するところは縦の半分に分けて左側を黒丸で右側を白丸にし、一つの文字でも低い音から高い音に上昇調で発音する場合はその逆になります。丸式は単語の文字の表記と別に示すときに使われる表記です。

たとえば「くじら」という言葉のアクセントは「○ ● ○」となり「く」と「ら」の部分がひくく「じ」の部分が高く発音することを意味しています。「あたま」なら「● ● ○」となり「あ」「た」が高く「ま」が低いという意味になります。「さくら」は同じ音程で「● ● ●」で表記されます。丸式は縦書きでも横書きでも使えるというメリットがありますが、丸式で表記され物を見てもどちらの丸が高いのか低いのかがわからなくなると全くわからなくなるというデメリットもあります。

HL式

高く発音する文字の部分はHighの「H」、低く発音する文字の部分はLowの「L」で表します。丸式と同じで文字とは別に表すときに使われます。「くじら」なら「LHL」、「あたま」なら「HHL」、「さくら」は「HHH」ということになります。

縦書きには向いていませんが、パソコンで入力しやすいことやHとLでの表記なのでどちらが高いのか低いのかわからなくなるということがないというメリットがあります。

線式

単語の一文字づつに線をひくもので、高い音のみ文字の上に線を引くものと、高い音には上に低い音には下に線を引くものとがあります。単語と一体化しているので見た目もわかりやすい表記の仕方です。

数字式A

単語の一番初めの文字から数えて何文字目の後ろで音が下がるのかということを数字で表します。

音が下がる前の文字拍を「アクセントの核」というのですが、たとえば「くじら」なら「低高低」ですが2文字の次に下がるので「2」と表し、その2文字目が「アクセントの核」ということになります。「あたま」は「高高低」ナノで「2」となります。「さくら」は「高高高」で下がるところがない場合は「0」ということになります。

京阪アクセントの場合は、高い音で始まるアクセント型と低い音で始まるアクセント型があり、それを区別する必要があるので「2」などの数字を囲う記号を□(四角)や○(丸)に区別して表記します。間違っていてもわかりにくいというデメリットはありますが、パソコンに打ち込みやすいことや表示スペースが少なくて済むというメリットがあります。

数字式B

数字式Aと同じですが、「くじら」と「あたま」のように同じ「2」でも「くじら」は低い音から始めっていて、「あたま」は高い音から始まっていることを示すために「くじら」なら「低2」の意味の「L2 」、「あたま」なら「高2」の意味の「H2」で表記するものです。「さくら」は3文字とも高く低いとがないので「H0」という表記となります。格を後ろから数えて示したい時は「H-2」「L-2」などマイナスを使うこともあります。

数字式C

数字式Aは音が低くなる前の文字拍つまり「核」が何番目かを示す数字を用いていましたが数字式Cは核ではなく、音が低くなり始める文字の拍数を表記します。「くじら」なら「低高低」なので「1;3」、「あたま」は「高高低」なので「3」、桜は「0」となります。

京阪式アクセントの場合は高い音程で始まるアクセント型と低い音程で始まるアクセント型があり、「くじら」の「1;3」のように1文字拍目の前でもいったん下がっているという意味の表記をします。

強調式

高く発音する文字を太文字で表記します。線式と同じで単語の文字と一体化していてわかりやすいのですが、印刷によってわかりにくい場合もあります。

文字式

単語の文字の中で「アクセントの核」となる文字を数字ではなくそのまま表記します。「くじら」なら「ジ」「あたま」なら「タ」で「さくら」は核がないので「平」と表記します。文字式も京阪式アクセントの場合は高く始まるアクセント型と低く始まるアクセント型があるので何らかの形で区別する必要があります。

まとめ

日本語には同じ文字列の単語で違う意味を持つ単語がたくさんあります。

「はし」「あめ」「くも」など文字で書くときには漢字を当てはめることで意味が通じますが、口に出して表現するときにはアクセントが異なることによって別の意味の言葉として区別されます。それを正しく表現するためにもアクセント表記を認識することは必要なことです。