声優は事務所に所属していますが、「雇用契約」ではなく自身のマネジメントを声優事務所へ委任する「委任契約」であるため、個人事業主として”事業所得者”にあたります。なので、毎年確定申告をしなくてはなりません。

※注釈:所属事務所との契約内容によりますが、声優もほとんどの芸能人と同様に”事業所得者”として確定申告し、納税しています。

目次

そもそも確定申告と源泉徴収の違いとは?

納税する方法は、2種類あり『確定申告』と『源泉徴収』です。まず、それぞれの違いと対象者を軽くおさらいします。

事務所所属声優、ネット声優、フリーランスなどのような違いではなく、あくまでも以下の違いですよ。

確定申告

確定申告とは、1年間に得た所得を計算したうえで、所得にかかる納税額を確定し、個人で納税する方法です。

対象は、”事業所得者”である個人事業主です。

事務所からアフレコ・ナレーションなど仕事の報酬を「出演料」として支払いを受けている声優です。

源泉徴収

源泉徴収とは、毎月いただく給料から予定納税額が事前に差し引かれ、会社が個人にかわって納税している方法です。年末調整され納税額が確定します。

対象は、雇用契約している”給与所得者”です。

これにあたるかどうかは、会社員のように源泉徴収票が発行されている。または、給与明細で自分の給与から所得税が引かれていることで確認できます。

もし、声優業の「出演料」から所得税が源泉徴収されていた場合、確定申告で”特定支出控除”という制度を利用することにより、自腹出費分を還付される可能性もありますので、確定申告を検討するとよいでしょう。

声優として確定申告を行う必要があるかの判断基準

個人で行う確定申告は、以下のような基準に該当していれば必ず行ってください。

    1. 個人事業主としての収入(事業所得)が発生しているか?
    1. 給与の年間収入金額が2,000万円を超えているか?
    1. 給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、給与所得・退職所得を除く各種の所得金額との合計額が20万円を超えているか?
  1. その他確定申告を行う必要がある一時所得や印税所得などが発生しているか?

詳しくは出典元へ:https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/teishutsu.htm

例えば、声優業以外にもアルバイトなど副業もしている方、声優としての収入があれば交通費などの必要経費で手元に残っていなくても、上記条件に当てはまっていれば確定申告することとなりますね。

また、給与所得者で源泉徴収されていても高額になると必要であるということになります。

確定申告における税金の決まり方

これは、源泉徴収と確定申告だからといって変わることではないのですが、、、税金を算出するための課税所得は、以下のような式になっています。

(課税所得)=(収入)−(必要経費)−(各種控除)

節税のために課税所得を押さえるには、手元にお金の残らない必要経費をしっかり計上したうえで、各種控除の対策をすることが、いかに重要であることがわかりますよね。

確定申告の「必要経費」とは?

まず、必要経費の話です。声優業であれば、

    • 調査・研究費として、出演する作品の原作を購入した。
    • イベント用の衣装を購入した。
    • スタジオ往復するための交通費。
    • 仕事の打ち合わせで発生した、コーヒー代。
    • 喉のコンディションを保つための喉ケアグッズを購入した。
    • 声優としての活動に関連したSNSアカウントを更新するためのスマホ代。
  • 声優としての活動に関連したお花代。

などにかかった代金は経費として認められますので、必ず計上してください。ただし、領収書でそれを証明し、税務調査されたときに合理的な理由で説明できることが重要です。

そのような観点から見ると、具体的な例をあげましたが、経費にできるかどうかは”以前から確定申告を行っている事務所の先輩”や”税理士”に相談しながらするとよいでしょう。

確定申告の各種控除について

主に個人事業主として、”事業所得者”にあたる方向けに紹介します。生命保険などは代表的なものですが、確定申告ならでの各種控除があります。

確定申告時期に都合よく控除額を増やせることはできないので、事前の対策が必要です。仮に、今年分が間に合わなくても来年分のためにも押さえておいてくださいね。

白色申告と青色申告

簡単に言えば、届出方法とそれに伴う帳簿の種類の違いで、控除に違いがあります。

せっかく確定申告するのであれば、控除のない白色申告よりも青色申告。さらに青色申告10万円控除よりも65万円控除を受けられるように、届出&帳簿付けをしましょう。
白色申告と青色申告の違いについて詳しくはこちら

小規模企業共済

小規模企業共済は、毎月の掛け金を2,000~70,000円で設定することが可能です。最大85万円控除になりますのでおすすめです。また、毎月の掛け金は何度も減額増額もできる点が魅力です。
小規模企業共済について詳しくはこちら

付加年金

個人事業主は、厚生年金ではない国民年金ですが、付加年金に加入することで支給額を増やせます。

掛金は月400円です。そしてもらえる年金額は掛けた月数×200円です。 昨今、年金の支給年齢は伸びていますが、もし長生きするならかなりお得な仕組みです。ただ、加入者本人がなくなると意味がなくなる仕組みです。
付加年金について詳しくはこちら

確定拠出型年金

確定拠出型年金は、個人事業主であれば個人型確定拠出年金(iDeCo)になります。こちらも掛け金が全額控除になります。

ただし、運用しなければならないので利益により戻ってくるときのお金は増減しますし、口座管理手数料もとられます。また、掛け金の額は1度しか変えられないので、生計が安定してからでもよいかもしれません。
確定拠出型年金について詳しくはこちら

個人年金

個人年金も控除対象です。

ただし、全額控除ではなく生命保険などの掛け金とあわせて、最大5万円までしか控除にならないので、各種保険と合わせ工夫して加入する必要があります。ファイナンシャルプランナーに相談したうえで検討するとよいでしょう。
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国民年金基金

国民年金基金に加入することで支給額を増やせます。こちらも掛け金が全額控除になります。

こちらは、保証期間付きであれば、遺族一時金が受け取れます。
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最後に

詳しくは紹介できませんでしたが、以上のことで確定申告の概要はつかめるはずです。

始めのうちは確定申告の控除まで目がいかないかもしれませんが、確定申告に関連する制度を知って賢く活用してくださいね。

以上、夢のない話でした。。。