あらゆる場面で声の安定感の生み出す「力む」状態から脱力する方法について、ご紹介します。
目次
上手に脱力することの重要性
進級試験やオーディションなどに限らず、いざ本番を迎えると、肩に力が入ったり、気合が入りすぎたり、いわゆる全身が「力む」状態になってしまい、平常時の実力を発揮できないということは、誰でも起こることです。
声量や滑舌は、緊張と密接に関係していますよ。
声量と力みの関係
体全体が緊張してしまうと、いつもの声量が出せなくなります。
緊張もない平常時に自分から緊張状態をつくれといってもつくれませんから、以下の方法で脱力を体感してみて下さい。
大きくないフェースタオルを用意してください。
準備ができたらひとまずタオルはそのままに、大きく息を吸ってから「あー」と声を出して、音階を上げていってください。
そして、高音がどこまで出せたかを覚えておいてください。
次に、タオルを二重に折り、唇だけでくわえたまま、同じように声を出してみると、どうなりますか?
しっかり高い音階まで声が出ませんでしたか?
日常的に脱力しているしている唇に力を入れることに集中すると、全身に余計な意識が回らず、自ずと脱力することができるからなんですよ。
滑舌と力みの関係
だれでも苦手と感じる”行”はあります。
緊張状態で苦手な滑舌を意識してしまうと『舌をしっかり動かさなきゃ!』って、余計に舌が固まってしまうことはありませんでしたか?
脱力するための5つの方法
いかに緊張とうまく付き合うかが大事であることがわかったところで、具体的な脱力する方法を紹介しますので、試してみて良かったことを取り入れてください。
全身ストレッチをする
養成所で必ず行う、体をほぐすためのストレッチでOKです。
全身の筋肉を柔らかくすると全身に力が入りづらくなり、程よくリラックスした状態になりますよ。
ア行で話してみる
台詞をすべて母音に変換してしっかり声に出すことで、喉の奥が自然と開くので、舌や口周りも脱力できます。
【例】冷静になりなさい。⇒ えいえいいあいああい。
といった感じです。
この母音発声法の良いところは、『自分が苦手な行を意識するあまり舌が固まってしまう』といった悩みを、発声練習だけで防いでくれることです。
劇団四季はセリフが明確なことで有名」と、演劇・ミュージカル評論家の萩尾瞳さんは話す。「大劇場の2階の端っこの席でも、しっかり歌詞を理解できる」. 秘訣は独自の発声法にある。「呼吸法」「母音法」「フレージング法」の3つから成る。劇団創立60周年の今年、 …
一音ずつはっきりと!滑舌にもすぐに効く、母音発声法! – 声優になりたい …
voice-actor.link/practice/boinhassei/
叫ぶ
気合を入れるときにも声を出すと良いですが、緊張しているときに”叫ぶ”のも脱力するには効果的です。
ただ、緊張を解きほぐしたいからといって、大声で”叫ぶ”と喉を痛めますから、自分の喉を痛めない程度の声量で行ってください。
いろんな妄想・想像をする
進級試験やオーディションなどチャンスをものにしたいときは周りが見えなくなり、自分のことだけに集中しずぎるので、与えられた台本の文字を追うだけになりがちです。
そんな時は、『このキャラクターは何故この台詞を言いたいのか?』、『どういう気持ちで出てきた言葉なのか?』などと考えて、置かれた状況を変える、つまりキャラクターになりきってみてください。
この方法は役作りにもつながることで、日頃から周りの状況、周りの人の気分・感情を観察し、なりきることができるよう観察することが必要です。
自分の思い込みだけではダメです。
相手や周りの声をよく聞いて、違和感なく等身大のキャラクターを演じられる妄想・想像でなければ意味がありませんよ。
演技が恥ずかしい!という声優の卵は「感情の解放」を訓練しよう
指先を温める
手を温めることでも、脱力につながります(1)。
お湯につける方法などもありますが、すぐ準備できることは稀なので、それ以外の一人でもすぐにできる方法だけを紹介します。
手の体操を行う
手をグー・パー・グー・パーして、指先まで血液を巡らせ、手を温かくします。
手のツボを押す
自律神経を調えるツボは、陽池(ようち)・大陵(だいりょう)・神門(しんもん)の3カ所あります。
どのツボでもいいので、左右の手を交互に押してみて下さい(2)。。
・参考文献
1.手を温めることによるリラクセーション効果の研究
2.自律神経の働きを調える三つのツボ