声優を目指している方でも、そうでない人でもアフレコという言葉は聞いたことがあると思います。テレビを見ていると芸能人が時々アフレコという言葉を使うことがありますね。
でも、「なんとなく意味はわかるけど、実際は詳しい意味はわらかない」という人が多いのではないでしょうか。そもそも実生活の中でアフレコなんていう言葉を使う機会なんて、ほとんど、というか全くないと思います。
もちろん一般の人は知らなくても、声優を目指しているような人であるのならば知っているかもしれませんね。アフレコ、とはいわゆる収録方法の名称です。他にもアテレコ、プレスコなどがあります。
ではそれぞれのレコーディング方法について詳しく触れてみましょう。
目次
アフレコ収録
アフレコ、とは映像が先に出来上がっており、映像に合わせて後から音を合わせてレコーディングする方法です。つまり「アフターレコーディング」のことです。略してアフレコですね。
アニメ作品などでは、考えられないような膨大な量の枚数の作画をすることになります。作業時間も膨大にかかるため、まずは映像を先に作成し、後から音声を付け足すことが一般的なのです。
とはいえ、前述したようにアニメは膨大な量の作画をすることになります。特にアニメ映画などになるとその枚数はすさまじいものです。しかし映画というものは事前に作成期間や公開日などある程度は決まっているものです。
予定の期日までに仕上げなければならないので、スケジュールが押してしまうと、のんびり作画が終わるのをまってレコーディング、などと言っている場合ではなくなってしまいます。
というか、そもそも映像の作成は遅れるのが常です。ですのでアフレコをするときはまた、動いている登場人物と背景がマッチしていなかったり、場合によっては絵コンテだけの映像をみながら声を合わせていくこともあったり、いよいよになると、全く絵がない状態で声を録音することがあるのです。
もちろんセリフを喋る長さは決まっているので、タイミングを計るためだけの映像を見ながら演技をすることもあります。収録現場に置いてあるマイクは声優の数だけあるわけではありません。スタンドにセットされた数本のマイクの前に順番に出ていきながら声優は演技をすることになります。
スケジュールの関係でそのタイミングで参加できなかった声優は(売れっ子になると特に)また別の日に録音し、編集で差し込むことになります。逆にスケジュールを確保するために、一日だけですべての録音を行うこともあります。
また、実写映画などだと、屋外で撮影しているため、さまざまな雑音をマイクが拾ってしまいます。登場人物のセリフにまじって、救急車の音や、ヘリコプターの音、カラスの声などが入ってしまうことが屋外の場合はよくあるのです。
そのような場合も、声だけ後から録音し、編集で重ねることがあります。肉体的な演技と声の演技をわけて撮ることでNGを防止する効果もあるようです。ヒーロー物の特撮などは、変身した後の姿のシーンはアフレコをすることになります。
アテレコ収録
基本的にはアフレコと同じ意味ですが、アテレコ、という言葉は演技などに「当てて」録音するという意味からきています。例えば洋画の吹き替えなどは、俳優や女優の演技に当てて声の演技をすることからアテレコと言われています。
アニメなどのようにあらかじめ作られた映像に声の演技を入れることをアフレコと言います。
最近はほぼアフレコに統一されており、アテレコという言葉に違和感を感じる人もいるようです。
プレスコ収録
プレスコとは、プレ・スコアリングの略です。先に音声を録音し、それに合わせて映像を作成していく手法です。海外ではこちらの録音方法の方が主流ですね。
アフレコの場合はすでに出来上がった映像に声をあわせていくので、喋る長さなども秒単位で決まっており、アドリブなどは入れにくい手法になっています。声優の表現の幅は限定されてしまっているわけですね。
海外のプレスコで録音された某アニメでは、録音の最中の声優のくしゃみや素の笑い声までをそのまま採用し、作品の中に入れ込んでいるものもあります。
プロの声優であるならば、アフレコでもプレスコでも対応できなければなりません。
前述のように、日本のアニメーションはアフレコで録音されています。しかし膨大な量の作画をしなければならないため、録音すべき期日に映像が間に合っていない状態も頻繁にあります。
そのような場合はプレスコにやむなく切り替えて録音するのです。つまり、日本の中でプロの声優を目指していくのであれば、アフレコにもプレスコにも柔軟に対応できるようにしておかなければなりません。
プレスコとはいえ、そのような場合の録音は長さやセリフはしっかりと決まっているものですが。このように両方にフレキシブルに対応できる柔軟さは、知識や経験に左右されます。最近は専門学校などでも、アフレコとプレスコ両方の録音方法を授業に取り入れているそうなので、在学中に各種の録音方法を経験しておくことも、後にデビューした時のためにも有効だと思われます。
どのような現場でも柔軟な対応ができる応用力が大切です。シチュエーションごとに求められるニーズは変わってきますが、どんなことにでもに対応できるようになりましょう。