声優について興味を持っている人なら、平板型、頭高型、中高型、尾高型に分類される日本語アクセント規則まで詳しく調べている人もいるかもしれませんね。養成所や専門学校でも日本語アクセントの規則は必ず学びます。

でも今まで意識したことが無い人は、「日本語のアクセント?」とピンとこないことでしょう。

実は日本語のアクセントはとても奥が深いのです。全てご紹介したら膨大な量になりますので、今回は知っておいて得する、日本語のアクセントの基本の法則についてお話ししたいと思います。

目次

4種類のアクセントの型とは?

まずはアクセントの法則の基本中の基本、アクセントの型について説明しましょう。

日本語のアクセントは、「ピッチアクセント(高低アクセント)」と定義されている高い音と低い音の違いで単語の区別しています。

この組み合わせは大きく分けて2つ。細かく分けて4種類あります。

補足:一般的な、線式表記法で紹介しています。

1.起伏式→起伏のある言い方

頭高型(読み方:あたまだかがた)

アクセントは1拍目、以降は音は下がる。

例:「ネコ(猫)」「ミドリ(緑)」「シンジツ(真実)」「シンセツ(親切)」「ナクラ(枕)」

頭高型の例

中高型(読み方:なかだかがた)

アクセントは2拍目以降、単語の最終拍目までには下がっている。

例:「イロガミ(色紙)」「ミズウミ(湖)」「オカシ(お菓子)」「ノミモノ(飲み物)」「シオカゼ(潮風)」

中高型の例

尾高型(読み方:おだかがた)

アクセントは2拍目以降。単語内ではなく次から下がる。⇒意味がわかり難い時は、こちら

例:「イモート(妹)」「シラガ(白髪)」「オトコ(男)」「ナマクラ(鈍)」

尾高型の例

2.平板式→下がらない言い方

平板型(読み方:ひらいたがた)

アクセントは2拍目以降。単語内だけでなく次でも上がったまま。⇒意味がわかり難い時は、こちら

例:「サクラ(桜)」「スナハマ(砂浜)」「ミズ(水)」「フデバコ(筆箱)」

平板式の例

この中でちょっと難しいのは、アクセント核のない型・無核型(むかくがた)であり、文(単語のまとまり)として使うと、前後の語との境が不明瞭になるデメリットをもたらす平板式でしょうか。

例えば、モゾモゾとした発音する方だけでなく、アクセントの勉強している人でさえ油断すると音をすべて同じにしてしまう傾向がありますよね。

平板式というのは、全くアクセントの無い平坦な言い方と覚えている人もいますが、それは違います。ちゃんと、単語内では変化しますよ(アクセントの核がないだけ)。

ただ、同音異字である「端」と「橋」といった単語だけを聞き比べると、平板式と尾高型のアクセントは同じようで区別はつきません。でも尾高型は助詞を付けると、助詞は下がりますよね。助詞から見たら、単語のお尻が上がったままに見えるのが尾高型の特徴です。

助詞がついたときの尾高型と平板式のアクセントの違い

補足:名詞に助詞・助動詞などがついた時のアクセントには、例外の変化もあります。例えば、『山の』『山だけ』『山らしい』のようなケースです。これらは辞書の付録に書かれているので、紙ベースの辞書で確認してください。

4つの型を理解していれば間違えることは無いのですが、基本の法則として一つの単語に高くなる箇所は一カ所で、一度低くなったら高くなることはありません。そして1拍目と2拍目を比べてみると必ず高さが違います。これらの4つの型をしっかりと押さえれば、日本語のアクセントは違和感なく美しく聞こえます。

外国人が日本語を話すと変に聞こえる理由

日本語が母国語でない方は、平坦な音調で最後まで我慢するのが難しいのか一般的に苦手にする傾向があります。例えば、ひろしま(広島)のすぐにどこかの音節を高く際立たせてしまうようなことをしますよね。

世界で一般的なアクセントの原則に反するから、平板式アクセントの習得が難しいです。

若者はアクセントの法則を無視?!

知っておきたいこととして、「アクセントの平板化」というのがあります。特に東京の若い人たちを中心に起伏式の言葉がどんどん平板式に変化しているのです。

例えば、「カレシ」「ドラマ」「モデル」「ショップ」などですね。

これを読んでいる皆さんは正しく言えるかどうか声に出して読んでみましょう。

地方在住の人は独特の訛りに囲まれているため、正しく発音するために東京に出てくる人もいることでしょう。ただあなたの周りの人が全て正しいアクセントで話しているとは限りません。日頃から意識して話すことが大切です。

アクセントの平板化の中でも「専門家アクセント」というのもあります。普段から特定の単語を使う人の中で、平板化した方がその業界に精通しているような感じになるのがその理由と言われています。

例えば楽器関係の言葉なら、「ドラム」「ギター」「ピアノ」あたりだと分かりやすいですよね。あなたも無意識に平板式で話していませんか?これらのように平板化するのは外来語に多いです。知識として頭に入れておくと良いでしょう。

アクセントの法則を身につける方法

これらのアクセントの法則を身につけるには、正しいアクセントを意識的に聞いて、正しいアクセントで意識的に話すことが大切です。

そのトレーニング方法として、言葉に音階の「ド」と「ミ」を当てはめていく方法があります。低い音を「ド」、高い音を「ミ」とするのです。

当てはめられない言葉があったら、日本語発音アクセント辞典で確認してみましょう。そしてこの2つの音階を意識して発音してみると身についてくるはずです。

音感というのは、音楽に携わっている人だけが必要なものではありません。

言葉を話す際にもとても重要になってくるため、苦手な人はある程度の規則性を身につけるトレーニングが必要になってきます。

その為にちいさな鍵盤楽器を身近においておくと良いですね。鍵盤楽器が弾けるスマホのアプリでも構いません。適当に鍵盤を弾きながら、聞こえてくる音の高さを意識して聞いてみるのです。

こうやって聞き分ける練習を積んでいけば、日頃の会話でも高い音や低い音を聞き分けることが出来るようになります。

言葉を聞く訓練としては、やはりNHKのアナウンサーの話し方を聞くのがお勧めです

地域差のない、標準的なアクセントを学ぶにはうってつけです。朝や夜のニュースを意識的に聞くだけでもとても勉強になりますよ。外出先ならラジオでニュースを聞くのも良いでしょう。

これから声を武器に声に関する仕事をしたいのであれば、アクセントの勉強は必須です。アクセントの基本をしっかりと身につければ、聞いている人の印象も良くなりますよ。これも夢の一歩だと考え、意識的に学ぶように心がけましょう!

アクセントとイントネーションの違い

「尾高 イントネーション」などと検索されている方もいますが、上記で紹介してきたアクセント(accent)は単語を区別することで、イントネーション(intonation)は文になったとき話し手の気持ちがどのような抑揚になって表れるかを言います。

意味を拡張して使わないようにして下さいね。

・参考文献
1.NHK日本語発音アクセント辞典