「遅刻をしてはいけない」というのは、社会人として、いえ、学生であっても、守ってしかるべきルールです。

しかし、何時間も遅れたり約束をすっぽかしてしまったわけでもなく、ちょっと遅れただけなのにどうしてこんなに叱られなきゃならないのか?

と、疑問に思うこともあるでしょう。

なぜ遅刻をしてはいけないのか、時間を守らなくてはいけないのか、その理由について考えていきましょう。

遅刻をすると、信頼を失う

「決められた時間」というのは、「約束」です。

○時にどこそこに集合、という約束です。

始業時間にしてもそう。

会社のルールですが、細かく見ると「何時までには必ずいます」という約束なのです。

「遅刻をする」ということは、決められた約束事を守らないということですから、「秘密を守らない」「返済期限を守らない」「すると決めたことをしない」と、同等なわけです。

約束をやぶられたら、あなたはどんな気持ちになるでしょうか?

怒り、落胆、悲しみ……約束をやぶった相手に対して、約束を守ってもらえなかった(軽く見られた)自分に対して、負の感情が湧き上がりませんか?

たった1回約束をやぶられただけでも不快なのに、それが度重なれば、当然ながらその人への信頼はなくなります。大切な仕事なんか、とてもじゃないけど任せられません。

だって、大事なクライアントとの面談や、大事なイベントで遅刻されたらたまったものじゃありませんから。

遅刻をする」→「信頼を失う」の間には、もう一段階あります。

それは、「人間性を疑われる」です。

毎回毎回遅刻してきて、この人は自分のスケジュールも把握できない人なんだな。

人を待たせても(迷惑をかけても)平気な人なんだな。

そう思われて、結果として信頼を失ってしまうのです。

この段階は、人によってはいちいち考えたりしません。

友人などプライベートな関係だったら、この「人間性」に関してちゃんと考えてから、信頼できるかどうかを判断するかもしれません。

しかし、仕事の関係だったらどうでしょう。

仕事は、なるべく問題なく、スムーズにすすめたいもの。相手を不快にさせるなどもってのほかです。

上司やクライアントによっては、「遅刻をする=信用できない」と、わざわざその人となりについて考えるまでもなくばっさり切り捨てる人もいるでしょう。

周りからの信頼を失えば、大きな仕事や大切な仕事は、おのずと自分から離れていきます。

遅刻をすると、軽視されるようになる

遅刻を繰り返すと、「どうせあの人は時間を守らない」と思われるようになります。

すると、相手は「じゃあこちらも遅れてもかまわないだろう」と考えるようになります。どうせ待たされるのに、律義に時間を守る必要なんかないと思うのは当然ですよね。

「この時間は約束があるけど、どうせあの人は遅れて来るだろうから予定を入れてしまおう」

「あの人はどうせ遅刻するだろうから、こっちを優先しよう」

といった具合に、優先順位が下げられてしまうのです。

遅刻癖がある人は、だったら時間を守るように言ってくれればいいのに、と思うかもしれません。

しかし、「遅刻をしない」という社会生活・人間関係において大原則のようなルールを、あらためて人に注意するというのは予想以上に勇気がいるものです。

似たようなケースに、人から物を借りたことをすぐに忘れてしまって、いつまでも返さない人がいます。

緊急に必要になった場合を除いて、こちらから「あれを返してほしい」と切り出すのはそう容易ではありません。勇気を出して一度は言えたとしても、二度目三度目は難しいもの。

その人は、もちろん信頼を失いもう二度と物を貸してもらえないでしょう。

時間と同様、「あの人はあれを返してくれないから、借りているこれを返さなくてもいいや」と考えられてしまうこともあります。

自分が相手との約束を守らないことによって、相手も自分との約束を守らないようになる、軽視するようになるのです。

遅刻をすると、一生後悔することがある

人から聞いた話ですが、いくら周りに「時間を守りなさい」と言われても、なかなか実践できない人がいたそうです。

時間を守る、遅刻をしないことの大切さが、頭では理解できていても、「ちょっとくらいいいじゃん」という甘えのような部分がどうしても拭いきれず、本気になれませんでした。

あるとき、小さなころから良くしてもらった親戚の叔父さんが、もういつ亡くなっても不思議ではない状態で入院しました。

これまでと同様に「少しぐらい大丈夫でしょう」と目の前の小用にかまけていて当初の予定通り田舎に帰らずにいたら、ご臨終に間に合わなかったそうです。

「ちょっとくらい……」という気持ちが癖になっていたために、もう取り返しのつかない、一生の後悔を誰のせいでもなく自分のせいで背負ってしまったわけです。

「遅刻なんかたいしたことではない」という甘えを持ち続けたことによって、最後の最後で取り返しのつかないことになることがあるのです。

まとめ

「なぜ遅刻をしてはいけないのか?」

これは、人を不快にさせないため、仕事をスムーズに進めるため、社会のルールだから、直接的な理由はいろいろありますが、結果として、間接的にはすべて「自分のため」です。

きっちり時間を守る人は、人から信頼されますし、信頼される人は大切な仕事を任されます。

結果、自分の経験値・スキルアップにつながりますし、大事なものを逃さず手に入れることができるようになるのです。雇われていると被害は少ないかもしれませんが、フリーで活動していると致命的な問題になりますよね。