テレビなどで活躍するナレーターを目指している人にとって、発音練習や滑舌トレーニングは大切なことです。毎日の日課としている人もいるでしょう。この発音練習や滑舌トレーニングは、プロのアナウンサーやナレーターも日々行っているといいます。
よく知られているのは「アイウエオアオ…」というものや、「水馬(あめんぼ)赤いな アイウエオ」という北原白秋のあめんぼの歌(五十音)、外郎売りの口上、「生米 生麦 生卵」などの早口言葉など。
日本語ばかりですね。
もちろん、上記の練習による効果は大きく、ナレーターの発音や滑舌に欠かせない要素を十分に含んでいるので、ここまで広く用いられているのでしょう。
英語の発音もマスターしておきたい
しかし、ナレーターの仕事も多様化している現在、日本語の発音や滑舌がしっかりできているからといって、十分とは言えないのではないでしょうか。
ポイントとなるのは英語。
多くの場合、ナレーターが読む原稿ではネイティブな発音は要求されていないはずです。原稿をネイティブな発音で読むと、一般視聴者は聞き取りにくくなってしまうこともあるからです。しかしだからといって、ジャパニーズ・イングリッシュしか話せないままでは、仕事でつまずいてしまうこともあるのではないでしょうか。
テレビのアナウンサーには帰国子女が多いように見えます。これは推測でしかありませんが、もしかしたら通じる英語が話せるかどうかとかかわっているのかもしれません。
英語には日本語にはない音がいくつもあります。まずは、そこからマスターしなければならないでしょう。しっかりした英語の発音をマスターするには、英語独特の舌の動きや口の動きを習得しなければなりません。
これは、幼い子供ならまだしも、すっかりカタカナ英語に慣れ親しんだ大人が英語の発音をマスターするのは難しいことです。残念なことに、英語圏に留学し英語で会話ができる人でも、ジャパニーズ・イングリッシュが根強く残り、きれいな英語の発音ができない人が少なくないそうです。
どれだけ難しいか分かりますね。
一般的に、英語でのナレーションのお仕事は、英語圏出身の外国人に依頼されますので、いくら英語の発音が良いからといって英語のお仕事が回ってくることは少ないでしょう。しかし、日本語も英語もできる人が求められるお仕事もあります。日本人のナレーターで英語をしっかりできる人は少数派ですので、そこにチャンスがあるはずです。
特に、現場で原稿を直せたり、音声を聞きながら若干調整したり、キューなしで原稿を見ながら音声をタイミングよく置き換える吹き替えができるバイリンガル・スキルがあると、すごく重宝されます。
まずは、日本語をナレーターの仕事ができるレベルにすること。それができてきたら、英語に取り組んでみるのもよいのではないでしょうか。日本語にはない英語の舌の動きが、良いお口のトレーニングになり、日本語の滑舌もよくなるかもしれませんよ。