「いい声」のためには呼吸ははずせません。声とはそもそも声帯を空気が通過することで鳴っているのですから、呼吸のコントロールなくしては声のコントロールもできません。

 

プロとアマの違い

熟練アナウンサーの方に、こんな話を聞いたことがあります。喋りのプロかアマかの簡単な見分け方があるというのです。それはずばり「ブレスの多さ」だそうです。

 

プロは一息で長い文章を読む。アマの読む文章はブツブツ途切れて聞きづらいのだそうです。

 

どんなにいい声で、活舌よく話せてもブツブツ途切れるようでは「喋れ」てはいないのだそうです。

 

長く安定した息をキープする

プロのナレーターは一瞬いい声を出せばいい瞬間芸ではありません。どんなに長い原稿でも、初めて読む原稿でも「いい声」で「一定の音圧」で読まなければなりません。均等な力、配分、息の量を長時間キープするのは実はとても大変なことなのです。

 

試しに新聞の一面の記事をまるまる声に出して読んでみてください。そしてできれば録音して自分できいてみましょう。

 

訓練していない人は途中でブレたり、変なところでブツブツ切れてしまったりで内容が伝わりづらくなっているはずです。ナレーションは日々の努力の積み重ねによる「職人芸」のようなものなのです。

 

おなかで支える

腹筋を何100回もやるよりも効果的な腹筋の鍛え方があります。息を限界まで吐ききることです。

 

ただし、本当に限界まで。

 

はーっと普通に吐いただけではまだ肺の中には空気が残っています。それをすべて出し切ります。本当に苦しい!細胞の全部から搾り取ったっと思ったら、ふっと力をゆるめてください。するとしぼみきった肺に自然と空気が入ってきます。

 

息は「吐く」ことにだけ集中してください。決して吸ってはいけません。

 

吸おうと思って吸う空気は大した量は入ってきません。息がたくさん吸えないという人は吐く量が足りないのだと思ってください。

 

息がまだ残っているから、うまく吸うことができないのです。肺の空気をすべて吐ききれば、息は自然と必要な量だけ入ってきます。

 

吸うのではなく、吐ききることだけに意識を集中してみてください。

 

息が浅い、とか短いとか言われる人はもしかしたら知らず知らずのうちに息を残したまま息継ぎをしているのかもしれません。肺に空気が残ったままだと、空き容量が少ないのでたくさん吸うことはできません。それにまだ余裕のある状態なので頑張って吸い込まないとなかなか肺に空気が入ってくれないのです。

 

ちょっと息が足りないかもと思ってからさらにもう1行読んでみましょう。意外となんとかなるものです。このぎりぎりの空気量の調節も呼吸のコントロールのうち。ギリギリの空気をうまく使おうとすることで、インナーマッスルも鍛えられるので、知らず知らずの内に肺活量も増やすことができるのです。