日本では多くの人が企業に勤め、やがて定年を迎えています。
定年後は、のんびり優雅な隠居暮らしという老後は、
今やごく一部の人に許されることになっているようです。
定年後の生活設計がうまくいかず、
現役時代よりはるかに安い賃金で働かざるを得ない人や、
生活のために借金をせざるを得ない人もいます。
そんな中、ナレーターは医者や弁護士、議員などのように数少ない定年のないお仕事です。
実力と努力と運があれば、いつまでも続けられるお仕事なのです。
高齢になっても第一線で活躍した例として、
2013年に亡くなった来宮良子さんをご存知の人も多いことでしょう。
最近は、「たけしの健康エンターテイメント! みんなの家庭の医学」(テレビ朝日系列)の
ナレーターとして活躍していましたね。
そんな来宮さんの訃報に寄せられたのは、
惜しむ声に加え、そんなに高齢だと思わなかったという驚きの声でした。
テレビから聞こえてくる来宮さんのナレーションに、
80代という年齢は全く感じられませんでした。
その他、森本レオさん、石坂浩二さん、市原悦子さんなど、
高齢になってもナレーターとして活躍されている方は少なくありません。
高齢でも第一線で活躍している人に共通していえるのは、
一般的に高齢者の声として日常的に聞いている声とは異なるということです。
簡単に言えば、ナレーションからは全く年齢が感じられないのです。
むしろ、年齢が声に深みと心地よさをもたらしているように感じられます。
高齢になってもナレーターとして活躍できるかもしれない…
これは、ナレーターを目指す人にとって心強い希望ですね。
高齢になってもナレーターとして活躍できるかもしれないということは、
年齢を理由にナレーターを諦める必要がないということでもあります。
これを聞いて、ずるずるといくつになっても親のすねをかじりながら
ナレーターを目指すのはお勧めできません。
しかし、昔からナレーターになりたいと思っていたのに
時間やお金の理由であきらめていた人が、
目指せる環境が整った場合に、チャンスはあるということです。
ただ、高齢でもナレーターとして活躍するには、
若い頃より若干ハードルが上がると考えた方がよさそうです。
声に年齢を感じさせない魅力があることや、
収録に耐えられる体力があるかどうかなどです。
高齢になると、一般的に滑舌が悪くなり、
視聴者が聞き取りにくくなる傾向にあります。
これを防ぐには、日ごろの努力が必要不可欠です。
また、収録は長時間に及んだり、
立ち仕事になったりするケースもあります。
この収録に耐えられる体力がなければ、ナレーターは務まりません。
ナレーターの仕事は、たくさんのスタッフとの共同作業になりますので、
体調面での不安は、スタッフに迷惑をかけることになってしまいます。
日頃からの健康管理も大切になります。
ナレーターになりたい人はたくさんいますので、
少しでも不安があれば、他の人に仕事がいってしまうことでしょう。
ナレーターは定年を気にせず続けられるお仕事ですが、
その反面、厳しい面も少なくありません。