文章を読み上げるナレーターは、内容を理解する読解力を含めて、感情表現を加えた発音であったり、聞き取りやすい発声等の技術が必要な仕事です。
基本的には、標準語の発音が求められますが、場合によっては地方の言葉が必要になるので、勉強のついでに覚えておいても損はありません。
またナレーターの言葉は、映像がある場合には理解を手助けしたり、映像がなくてもイメージを呼び起こす切っ掛けになります。言葉で表現する技量は、聞く人の理解力に影響を与えるので、まずは読む文章力を高めることが大切です。
文章力とは、文章全体の構成であったり、単語の意味や文脈に対する理解の深さを意味しています。
この文章力こそが、ナレーターの実力を左右するので、普段から文章に接して過ごすことがポイントです。
原稿を読む仕事は、用意された原稿の内容を把握した上で、音声に変換する咀嚼を経てから、実際に行う表現の結果に繋がります。
文章の咀嚼は、普段から接する文章の量であったり、目で読んで声に出すの繰り返しで鍛え上げることが出来ます。
ただ、文章を読むといっても、表面的に目で追ってなぞるだけでは、技術が深まるとは限りません。
単語の一つをとっても、普段何気なく使っていたり、本当に十分な理解を行っているとは限らないといえます。
ナレーターを続ける技術を得たり、一流のプロを目指すのであれば、文章力に注目してトレーニングすることがおすすめです。
プロを夢見る人は、直ぐに結果や上達を求めたり、焦って本質を見失ってしまうことが良くあります。
声を出す練習は、確かに技術を磨くやり方になりますが、最初に肝心なのは文章に対する理解ですから、文章力を客観的に評価する必要があります。
プロに指導を受けている場合は、自然に能力を高めるトレーニングを行っているので、比較的上達が早い環境にいると考えられます。
しかし、独学で学んでいたり、師事する相手や指導者が存在しない時は、客観的に自身を見るもう一つの視点が重要になります。
現在の技量が把握出来ると、足りない部分が明確になるので、どこを磨いて克服すれば良いか分かります。
上達が行き詰まる人は、客観的な視点が欠けていますから、必要な部分が疎かになったり、価値のないトレーニングを続けてしまう状況に陥りやすくなります。
具体的かつ客観的な評価を行う方法としては、テーマを決めて文章を書いたり、完成した物を読み上げて採点するやり方が挙げられます。
文章を書く取組み方は、一見すると上達に役立つのか疑問に思われますが、語彙力の幅に気がつけたり、読みやすい文章の理解に繋がるので重要な訓練です。
語彙が足りていないと感じたり、文章構成の技術が不足していると気がついた場合は、読書量を増やして研鑽を積むことが上達の道に結びつく方法になります。
読書を行う際には、必ず声に出して読んだり、解釈に間違いはないか確認しながら読み進めることが効果的です。
分からない単語や言い回しは、メモ帳等に書き留めておき、理解したい欲求を持っている間に、早い段階で調べておくことが必要です。
興味が薄れてしまうと、理解は後回しになってしまうので、脳にインプットする機会が損なわれてしまいます。
ナレーターには文章力と共に、知識や言葉を使った表現力が大切なので、様々な対象に興味を持ったり、疑問は早めに解消して知識に加えることが役立ちます。
色々な分野の本がすんなり読めるようになると、理解に対する心理の障壁がなくなるので、読む場合の引っ掛かりが減少します。
読む側の頭の中に疑問符がある読み上げは、本人の理解力のなさが相手に伝わってしまったり、耳にする側が心地良く理解出来ない状況になってしまいます。
一流のナレーターは、原稿を受けとって直ぐに内容を把握したり、内容が全て頭の中に入っている人も少なくありません。
短時間で内容が覚えられる理由は、原稿が伝えたい内容を咀嚼しながら、頭にインプットを行っている点にあります。
勿論、引っ掛かりなく咀嚼出来る下地には、日頃からの地道な努力や積み重ねの数々が存在します。
単語の意味や文脈の解説が求められても、分かりやすく簡潔に答えられるようになれば、技術力は着実に上がっていると客観的に捉えられます。
仕事は原稿を読むことにありますが、本質は相手に理解させる点にあるので、誰よりも読む本人が理解している前提が不可欠です。
文章を理解しながら読めれば、理解して読んだ結果は相手に伝わりますし、内容が頭に入りやすく変化した音声という形になります。
独学は実力になりますが、一人黙々とトレーニングを続けるだけではなく、現在の力を披露する場を用意したり、全力で人前で読み上げるのも役立つ力に変わります。
ここまで基礎技術を磨いてこそ、発声練習や発音の訓練は生き始めるので、プロを目指すか否かを問わず、自信を持って文章が理解出来ると胸を張れるようになることが肝心です。