商品CMや企業VP、ドキュメンタリーなどの映像製作にはナレーションが必要不可欠です。こうしたナレーション製作の料金は思った以上に高額となりやすいため、実際製作を行い際にはその見積書の内訳をしっかりと理解しておくことが必要となります。
まずナレーション制作を行う過程としては、映像製作のディレクション、編集作業、ナレーター原稿の仕上げがまず行われているのが前提とし、その後のナレーターと収録スタジオの手配、実際の収録、編集作業までとなります。
この場合、依頼する制作会社によって変わり、その理由としてはナレーターの実績や知名度によるランクで料金が変わり、さらに拘束時間や原稿文字数などでその料金計算が変わってくることや、収録スタジオの広さ、エンジニアのランク、収録時間などでも大きく変動することが大きな要因となります。
もちろん低いコストのものはそれだけクオリティが落ちますし、高いコストの場合は上質なものが約束されるかといえば必ずそうではないのが現実です。
そのためある程度のクオリティを重視しながらも、コストパフォーマンスのよい制作を行うにはある程度の料金相場を知っておくことが重要です。
ナレーターの一般的な料金相場
まずナレーターの料金相場は、日本語400文字程度の読み上げで1万2000円~2万5000円程度となり、拘束時間で価格設定している場合は1時間5万円程度の料金と考えておくとよいでしょう。
それ以上の場合は、元放送局の知名度の高いナレーターであったり、人気のあるナレーターとなる場合が多いです。逆に、それ以下の場合は、駆け出しのナレーターや声優、役者志望の方が担当する可能性は高いといえます。
外国語ナレーション製作の注意点
多国語でのナレーション制作の場合は、相場の1.5~2倍程度は必要となるため、バイリンガルの制作は注意が必要です。
収録スタジオの一般的な料金相場
次にスタジオ利用料ですが、一般的な録音スタジオはスタジオ利用料が1時間6000~12000円程度のが相場となり、収録スタジオの広さによって変動します。
それに加えて収録オペレーター、ミキサーの人件費がそれぞれ1時間5000円程度必要となります。
また、グロス契約によりスタジオ利用料が8時間で3~5万円程度に抑えるものも多くあります。
もし、予算があまり取れない場合は、クラウドサービスなども検討なさってくださいね。
収録スタジオ選びの注意点
ナレーション収録のみであれば原稿数が1000文字程度であれば1時間程度で完了しますが、収録後に編集し、音楽や効果音、映像の同録などとミックスし完パケ品を作成するMA作業が発生する場合は、グロスで利用するほうがリーズナブルといえます。
こちらも廉価スタジオが増えており、録音機材が業界水準のものよりも安価なものや、収録ブース内が狭すぎて息苦しいといったものも少なくないため注意が必要です。
エンジニアの質
また、ミックス作業もエンジニアの力量で大きくクオリティが異なりますので、CMやVPに特化したエンジニアが所属するスタジオなどを選択しているかどうかが大きなポイントといえます。
見積書の主な内訳
実際制作を依頼する場合の見積書にはナレーター費、スタジオ費、編集費、SE・BGM費、ディレクション費、メディア制作費などに分かれます。
ナレーター費
ナレーター費はナレーターの人件費となり、スタジオなどの交通費や事務所所属の方の場合、その手配量なども含まれることがあります。
実績のあるナレーターほど高額となりますがその分原稿の読みのクオリティが高いことや、1テイクでのスムーズな収録が期待できるため、拘束時間の短縮やスタジオ利用料の軽減につながります。
スタジオ費・編集費
次にスタジオ費、編集費はスタジオ利用料、エンジニアの人件費、機材使用料などが含まれ、編集やMA作業などの技術料に該当する編集費はエンジニアの人件費に含まれることが一般的となります。
これら料金はすべて制作にかかった時間で計算されるため、原稿の直しなど現場での作業が多くなればそれだけ料金が増えていくことになります。
SE・BGM費
SE・BGM費は、著作権のあるものを使用する場合はその使用料、別途制作する場合はその制作料金などが必要となり、別途制作する場合はある程度の期間も要することになります。
ディレクション費
ディレクション費は収録に関する段取りを組むディレクターの人件費となり、収録現場への同行の有無などでも料金が異なります。
実際の現場ではナレーターの送迎や、スタジオとの素材のやりとりなどを任せることになるため現場に同行することが多い傾向にあります。
メディア制作費
そしてメディア制作費は最終的な完パケ品を収めるためのCDやDVDなどの料金ですが、現在ではPCベースでの作業がメインとなるため、USBメモリーやハードディスクを持ち込む、またはファイルストレージで転送するし、納品するケースが多い傾向にあります。
その他
さらにリテイクがあった場合はナレーター、スタジオの再手配など新たに料金がかかるようになります。
最後に
個人的な映像の制作であれば、コストパフォーマンスに優れた制作会社を選択すれば良いですが、商品CMや企業VPといった商業映像の制作の場合、クライアントの役員クラスの方がスタジオ収録に同席することも多いため、ランクの高いナレーター、設備の整った収録スタジオを手配できる制作会社を選択することが望ましいですね。