動画マーケティングが盛んになり、大小企業問わず販促動画のナレーションを担当させて頂く中で、意味なくアニメーション化して宣伝効果の薄そうな動画を拝見することが多くなりました。
そこで数多くの販促動画にナレーション付けした中で、効果的なプロモーションになった作品に共通する販促動画・アニメーション推しのパターンと注意事項を客観的にまとめてみました。
現物を表現したい時は必ず実写を!
販促動画を作るときに、まず悩むのがアニメにするか実写にするかですね。
どちらにも一長一短あり、どちらが優れているとは言えないのです。
「これは絶対に実写でしょ」と言い切れるパターンが、無いわけではないのです。
例えば以下の販促動画について、貴方はアニメと実写どちらを選ぶでしょうか。
- ジューシーな肉汁がウリのハンバーグ店のCM
- 就活生向けのプロモーション動画。社員の生の声を伝えたい
- こすらずにするんと落ちるメイク落としシート
- 湯水のように予算が使える案件で大きなインパクトを出したい
いかがでしょうか。間違いなく、実写を選ばれたと思います。
割った途端に流れ出るシズル感たっぷりの肉汁、生き生きと働く社員の表情や弾ける笑い声、落ちにくいマスカラやアイシャドウがひとこすりで瞬く間に落ちる様子…これらは全て現物を実際に見てみるにしくものは無いのです。
そして、湯水のように予算が使えてとにかくインパクトを、というのであれば一流どころのタレントを使うに限ります。一億かけても吉永小百合さんを出せばいいのです。彼女の楚々とした上品な美しい佇まいには、中高年男性の財布の紐を一発で緩める魔力があります。こちらも、現物の強みですね。
現物が無い時はアニメーションを!
では、アニメを使った方が良いと思えるものは何でしょうか。
こちらはざっくり言えば「現物」ではないものです。あるいは「現物」を目で確認することができないものです。
例えば、メカニックの内部構造や仕組み、業務フロー、純粋にコンセプトやイメージだけを伝えたい、ノイズとなる情報を入れたくない…そんな時にはアニメの方が圧倒的に向いています。
メカニックの内部構造や仕組みなどは、複数の視点から見たり、臨機応変にズームを変えたりした方が分かりやすいですが、当然実写ではそれはできません。
業務の流れや手順、つまりは業務フローもしかりです。
実際の工場のラインの映像を延々と流して、そこで何が行われているのかをたちどころに理解できるのは、その工場の業務に精通している人(早い話が業務フローを必要としない人)のみです。
一般の人に説明するには、文字や図形といった抽象的な形で情報を整理して示す必要があります。
そして、純粋にコンセプトやイメージだけを伝えたい時も、実写画像は避けた方が良いでしょう。
実写画像には余計な情報も一緒に写り込んでしまうという欠点があります。登用したタレントが不倫騒動を起こした途端に一気に利用できなくなるなどというトラブルが良い例でしょう。
そのようなトラブルが無くても5年経ったら当該のタレントは過去の人になったり、今とルックスやイメージが変わってしまい、その商品の販売戦略とアンマッチを起こしたりします。
こういったことも、余計な情報がノイズになってしまうことの一例です。
動画と比較して安上がり…でもすり合わせが大変なアニメ販促動画
さて、扱う題材の向き不向きを別として、実写と比較した場合のアニメ販促動画のメリット・デメリットは何でしょうか?
制作費や管理面から見てみましょう。まず制作費ですが、こちらはアニメの方が安く済むことが多いようです。
実写でも、比較的近隣のロケであったり、お金のかかるタレントを使わなかったりする場合は安く上がることもありますが、内容によってはどうしても高くついてしまうことがあります。
海外のロケ地にいったら荒天続きだった、などの不測のトラブルによる出費もつきものでしょう。
その点アニメは、どんな奇抜な表現であっても、やっていることは基本的には黙々とデスクの上で作業をするだけです。
費用を左右するのは尺数のみですので、比較的金銭面での管理はしやすいと言えます。
同様の理由で、進行管理もアニメの方がしやすいといえます。
ただ、アニメの場合は関わる人の技量やコミュニケーション能力によってはロスが出やすいという欠点があります。
前述の通り、現物が見せられない時にアニメを使うことが多いので、表現したいコンセプトなりイメージなりをクライアントと適切にすり合わせられるだけのコミュニケーション能力が必要となります。
また制作側でも、キャラクターの表情や動きや使う色などについて、互いにこまめにすり合わせを行いながら進めないと、完成間際になって作り直し!ということにもなりかねません。
アニメの自由で枠に捉われない表現を活かしきることが成功のカギ
最後に、アニメ販促動画の実例をご紹介します。アニメーション動画の特徴は、現実に縛られない自由で無限に広がる表現力です。
例えば、キャラクターなどもアニメで作れば、実際のタレントの欠点やスキャンダルに縛られることなく、純粋に当該の商品なり企業なり、またその顧客層なりにあったキャラクターを創り出すことができます。
ホワイトボードに手書きで何かを書いている様子をアニメ化するホワイトボードアニメーションは、何か物事を説明するときに使われますが、使う色や書くスピード、緩急、文字の大きさ、アンダーラインを引く箇所を自在に変えることで、重点ポイントを自然と目立たせることができます。
のみならず、アニメに欠落しがちと言われる手作り感のある温かみまで演出することができます。
3Dアニメなどのリッチな画像表現で、企業コンセプトをより洗練された形で伝えることも可能です。
日立の「この木なんの木」のように、時代を超えて愛されるクオリティの高い画像で、企業の持つイメージを長く保つことも可能です。
アニメを使った画像では、ジャパネットたかたのオープニングムービーなどは良い成功例ではないでしょうか。