いい声を出すためには寝転がってあくびをすればいいと言いましたが、収録やオーディションの際に寝転がって声を出すわけにはいきません。大切なのはその寝転がって出した状態の声を自分の体に記憶しておくことです。体のどの部分が響いて、どんな状態になっていれば自分の「いい声」であるのかを日頃から意識しておけば、立ったり座ったままでも自然と「いい声」を出すことができます。
現代人は皆猫背
現代人はパソコンやスマートフォンの普及により、1日の大半を俯いて過ごしています。
この姿勢が長く続くことどうなるか。
猫背になり、首が少し前に出る姿勢になります。この姿勢は声を出す上でとてもよくない姿勢です。声を出す理想の姿勢は空気の通り道が真っ直ぐになっていること。背筋を伸ばし、腰骨で体重を支え、肩胛骨が開いている状態です。
猫背になることで肺から喉への道が曲がり、首が前に出ていることですっかり気道を塞いでしまっています。
この姿勢は声が真っ直ぐでないだけでなく、肩も凝りやすく疲れやすい姿勢です。
肩胛骨を開く運動
意識して肩胛骨を開くのはとても疲れますよね。肩を回す運動で楽に開けるようになります。体を腕の付け根の関節部分を支点にぐるぐるゆっくりと大きく回してください。その動きを左右あわせて後ろ回し8回、前回し8回、最後にもう一度前回し8回とやってみたください。これだけでも肩の位置がすっと後方に下がり、肩胛骨が自然と開きやすくなっているはずです。
下腹部で体重を支える
体の中心はおへその指ふたつほど下の部分。「丹田」と呼ばれる部分です。声を出す時にはこの部分にのみ力が入るように意識しましょう。そして支えるのは腰から下です。喋るだけとはいえ、案外下半身を酷使しているものです。逆に上半身はなるべく脱力して、声の通り道を塞がないようにしましょう。
背筋をまっすぐに
背中が曲がっていては、気道も曲がってしまいます。気道が曲がってしまうと、声がまっすぐに響かずクリアな音は出ません。腰骨の上にまっすぐ背骨が乗っているイメージです。よく言われているのが頭のてっぺんから糸で吊されているような状態。背中が曲がっているなと感じたらこれを意識してください。
首を後ろに下げる
まずは二重顎になるくらい首を引いてみてください。そしてその状態から徐々に顎を上にあげて正面を向いてください。この状態が「まっすぐな首」です。不思議に思うかもしれませんがこれを鏡の前に横向きに立ってやってみてください。実は「後ろすぎかな?」というくらい引いて首がやっと真っ直ぐな状態なんです。いかに前に倒れた状態で普段過ごしているかが分かりますね。
体づくりが必要
どうでしょう?以上のことをやってみると、短時間でもその姿勢をキープするのが案外難しいと感じませんか?
油断するとどうしても徐々に普段の楽な姿勢になってしまいますよね。実はこれ、毎日腹筋を100回やるよりきついトレーニングかもしれません。でも声を出すためには腹筋を毎日100回やるよりも確実に良い成果が出ますのでぜひお試しください!