基礎を学ぶには養成所や学校には通った方がいいとお話させていただきました。でも学校に入る前に何かできることはないだろうか?

 

発声練習や活舌訓練は、できるなら独学での練習は避けていただきたいです。こうした練習をプロの指導を受ける前に独学でやってしまうと、かえって変なくせがつき、それをあとから正しく矯正するのはとても難しいからです。こうした練習は専門家に習うまで、なるべく触れずにフラットな状態でいてください。

 

では何ならやっていいのか?

 

「体づくり」と「耳づくり」です。これなら今からでも始められるし、一朝一夕では身に付かないので早く始めておけばおくほどいいです。

 

必要な筋肉を鍛える

いい声をコントロールするには体づくりが必要不可欠。この体づくりは養成所や専門学校にいってもなかなかしっかりとはやってもらえないので、自分でしっかりと鍛えておきましょう。通常の筋トレでもかまいませんが、通常の腹筋運動よりも下腹の筋肉を鍛える足上げ腹筋やまっすぐな姿勢を保つための背筋運動を中心に行って下さい。

 

必要なのは下半身の支えと背中です。

 

自分が今どこの筋肉を鍛えているのか意識して行うと効果的です。ウォーキングやランニング、水泳は効果的に肺を鍛えられるのでおすすめです。

 

耳を鍛える

普段のテレビやラジオ、店頭の販促用VP。私たちの生活のありとあらゆる場所に「プロのお手本」が転がっています。それらを注意深く聴いてみてください。

 

どんな言葉を強調しているのか?

スピードはどうか?

音の高さはどう変化しているか?

 

さらっと聴きのがしていた音も、よくよく聴いてみると、それぞれのナレーターの創意工夫の固まりです。

 

ただ漫然と聴くのではなく、どういう効果をねらってこの音を出しているのか?というところまで考えてみましょう。またイントネーションやアクセントのチェックもしてみましょう。注意深く聴いているだけでも耳は鍛えられます。

 

新聞を音読してみる

自分の声をよく聴く癖をつけましょう。どんな音で、体のどこが響いているのか意識しながら読んでみてください。長い文章を初見でよむ練習をしましょう。新聞の社説欄やコラムなど、毎日同じ分量のものを継続して読むと効果的ですよ。

 

舌の運動

舌の付け根、舌根と呼ばれている部分を鍛えましょう。滑舌が悪い人は舌の筋肉が弱っている人が多いです。舌の筋肉を鍛えておけば、ずいぶんとなめらかに喋ることができるようになります。

 

鍛え方は色々ありますが、簡単なものをひとつ紹介しておきましょう。

 

舌をできる限り長く伸ばすように突き出してください。そしてその舌でゆっくりと大きく円を描いてください。自分の口のまわりをぐるっと舐めていくイメージです。なるべくゆっくり、大きく動かすことが重要です。終わったあとに舌が疲れるくらいでちょうどいいです。疲れていない場合は充分な効果がありません。

※関連記事:ナレーターと滑舌https://www.venusinfurbroadway.com/narrater/column/pos243/